本の買取先を確保しよう
本が売れなくても古本屋を何故やっているのかと聞かれるのであれば、それは本が好きだからと応えますが、愛しすぎるのは良いとは思えません。
先日も40歳ぐらいの男性が訪ねてきて、サラリーマンを辞めて古本屋を開業すると言って、自分の店が持てることでワクワクしていることが、恐ろしいほど伝わってきました。
サラリーマン時代に本の買取をして集めた在庫リストを見せてもらったら、詩集や歌集なども含め、なかなか入手できない高価なものばかりだったのですが、完全に趣味の範囲でしかなく、商売として考えているのか不安を感じます。
今まで趣味で集めてきた本を古本屋に買取してもらわずに、自分の店を持とうと考えたのでしょうが、今の在庫がなくなった場合、どこから本を買取して仕入れるのかが心配です。
自分のコレクションを商品として店を始める人は、同業者にとって恰好の餌として荒らされることになり、価値のある本が全てなくなって、お客さんの間では「あの店は良い本がない」と噂になってしまいます。
私も古本屋を始めたころは、1か月で中心となる本は売れてしまい、店内の棚は潤いがなく、売れてしまった後の供給が出来ないことには、お客さんは離れていく一方です。
そのためにも、古本市場から本を仕入れることや、一般のお客さんからも本を買取するなど、本屋は本がなくては商売になりませんし、本を買取するにもある程度の資本金が必要になってきます。
本当に本が好きな古本屋
古本屋は奥が深いと申し上げましたが、新刊書店は出版されたばかりの本のデータを1年ぐらい遡って覚えておけば良いのですが、古本屋が取り扱う本は新刊書ばかりではなく、江戸時代の和本や洋書など、現在にいたるまでに出版された書物が対象となるので、数十億冊という世の中に溢れている本を記憶しておく必要がありますが、それらの全ての本を頭に入力しておくことは不可能です。
いま挙げた本以外にも、美術書だけではなく実物の美術品を扱っている店や、絵葉書とか昔のおもちゃを売っているところもあり、本だけでなく売れるものなら何でも売ります。
その反面、本以外にも買取をしていることになり、酷いと思われるかもしれませんが、私の店では誰のか分からない写真まで売りました。
また、亡くなった故人の遺品として古本を買取して欲しいと言ってくる人もいますし、相手が売って困るようであれば返品しますが、不要と思って捨てても良いのであれば、商売上返しようがありません。
お店を開業したら、イメージしていたような商売とは違うと衝撃を受ける事もありまして、一番のギャップは、予想していたよりも本が売れないと言うことでして、もう少し稼げると思っていたのですが、期待していた気持ちが裏切られる事もありますので、それでも本が好きで古本屋をやりたいと思うのであれば、是非とも店を開いてもらいたいです。